2008年8月 4日 (月)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:37

「まあ…人の記憶なんてそんなものなんだ。外的な操作である程度はコントロールできる。だけど」口元はすこし微笑んではいたが、眼は淋しそうだった。「残念だけど、ピンポイントでそれをやってのけられるほど僕は上手くないんだ」
 だから、ついでに他のどんな大切な記憶を消してしまうか分らない、とほづみは続けた。
「そんなリスクは犯したくない。君は若いから、蓄積された記憶も少ない。だから下手な消し方をすれば記憶をどこまで削ってしまうかの予想もできない。できれば君の良心に基づいて見聞きしたことを封じて貰いたいんだ」
「あ、あ、あんた…何者なんだ」
「ただの助手だよ。先生の研究───サイエナジックの、ね。」
  
Scienagic_character37
  

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:37"

|

2008年7月21日 (月)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:36

「夕美さん、僕、学校に行きます」
「えっ。何しに」
「さっきの」と、ちらりとほづみを見た。「その人が学校と話した電話の内容では、閉じ込められてるのは一人という事でしたけど」
「ん」
「平賀さんの…副部長のメールによると、現場は気づいてないけど、上の…クレーンのてっぺんの操作室にもう一人残ってるようです。しかもどうやら気を失ってるらしい」
「ええ!?」
   

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:36"

|

2008年7月10日 (木)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:35

「直った…ゆうても急場しのぎ、っちゅうやっちゃ。メモリは生きとるみたいやが、液晶もあんまし長い間は点いてへんと思う。あ、そーっと、そーっと。ハンダ付けしてるわけとちゃうから荒うに扱うと壊れるで」と、とりあえず部品同士をくっつけた状態の元・携帯電話を亜郎の手に載せてやる。
「あ、ありがとうございます!───わわわ」
 考古学上の発掘物を扱うみたいにこわごわ受け取ると、文字通りの“壊れ物”であるが、ちゃんと液晶に文字が浮かんでいた。

Scienagicgirl_act035
   

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:35"

|

2008年6月10日 (火)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:34

「ああ先生、もうそれくらいに。亜郎くんが可哀想ですよ。解ってるでしょ。単なる好奇心じゃないですか。子供がお化け屋敷を探検したがるのと同じです。だけど大丈夫、彼はばかじゃない。自分が今どんな立場にいるかちゃんと解ってますよ。ねえ、亜郎君」
「ち、違いますよ!! ぼ、僕はっ、ただ………」
「なんや。この期に及んでまだナンか口からでまかせが出せるのか」
「ただ…夕美さんに逢いたくて…」
 これには言った亜郎自身が驚いた。こんなことを言うつもりじゃなかったはずだ。だが、一体自分のどこからこんな言葉がでてきたのか、まったく迷いもためらいもなく、ひとりでにスッとこの言葉が出たのだ。
 言ってしまってから言葉の意味が自分にハネ返ってきてとまどったが、不思議なことに違和感は感じなかった。(ああ、そうだったのか)とさえ思える。
 ほづみの言葉にカチンと来て反射的に出た言葉ではあったが、今の亜郎にとってはけっして口から出任せのウソではなくなっていたのだ。
   

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:34"

|

2008年5月28日 (水)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:33

 亜郎は思った。奇妙なアングルだ。ひざ枕してくれているのは、数日前まで言葉さえ交わしたことのない一学年上級の女子生徒であり、今、自分はその彼女の色白なあごを真下からぼんやりと見つめている。
 その彼女の向こうには、ぶち抜けた天井を通して初夏の濃い青色の空が見える。白い雲とのコントラストが綺麗だった。
 興奮しすぎた反動か、それとも鼻血の大量出血でへばったのか、脳に酸素が行き渡らないからか。彼女のあごは手を伸ばせば触れられる所にあるのに、視界はまるで逆さに覗いた望遠鏡の景色のように遠くに感じる。
  

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:33"

|

2008年5月 6日 (火)

おっ3トリオ座談チャッとらいなー(仮題)その3。

羽場:うわ。連載開始から一年経ってるで。しかもACT32まで来とるわ。

冬夢:あらら。ほんまや。早いなあ、一年って。

庵 :けどまだACT32やなあ。なかなかやな〜〜〜〜〜〜〜〜〜

冬夢:しゃあないわな。アッチやり、コッチやりやし、なんちゅうても気力が保たん。これは連載やる上で致命的やもん
   

続きを読む "おっ3トリオ座談チャッとらいなー(仮題)その3。"

| | コメント (0)

三宅亜郎の“さいえなじっく”レポ、その1。

《なみこと山怪事件に関するレポート》記者/睦津江(むつえ)高校メディア部部長・三宅亜郎 責任編集

 まだまだ実態も事実関係も不明点が多すぎて、こうして文書にまとめるにも早すぎる感があるが、今後予測される自分への危険度の増加をかんがみるに、何らかの形で逐次記録してゆかねば万一の際には一切が闇の中に消えてしまうおそれがあるため、未完成ながらも判った事実から文書にまとめるものである。

  

続きを読む "三宅亜郎の“さいえなじっく”レポ、その1。"

|

2008年5月 5日 (月)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:32

「おお夕美!!大丈夫か?」
「何言うてんのん! 大丈夫ちゃうのんはこの───ええと」
「亜郎。三宅亜郎ですってば」「それそれ」
(それそれって…)亜郎は泣きたい気分になった。
「夕美ちゃん、まだ起きちゃ駄目だよ」
「玄関先でこんだけヤイヤイ騒いどいて、どないして寝てられるんや!玄関先で…」
 ふと見回す夕美。
「あれっ?……玄関…あらへんやん」
   

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:32"

|

2008年4月30日 (水)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:31

Scienagicyumin_act032_2

「ああ。無事だ。それどころか、くずれる家から君をかばってくれたのも彼女だよ」
「えっ」
「おまえ、覚えてへんのか?夕美が身を挺してやな───」
「た…たしかに。たしかにそうでした。覚えています、それは…」
 途端に亜郎の脳裏にその時の光景がくっきりと浮かんだ。ただし思い出したのが青白く輝く光に包まれた夕美の均整のとれた裸身だったので、たちまち色白の亜郎の顔は真っ赤になった。
「それは……美しい姿で…」
  
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:31"

|

2008年3月16日 (日)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:30

「それよりも先生のその怪我を治さないと」
「あかんあかん。それこそ力を使うやないか。こんな程度のことでリスクを負うてどうすんねん。」
「いずれにせよ、昨夜夕美ちゃんがあれほどの力を解放しちゃったからには、もう世界へ向けてスクープ映像を発信したようなもんですよ。」
「うーん、たしかに…」
 耕介は抜けた天井の彼方に真っ青に広がる空を見上げて、もう一度うーん、と唸った。
「もう、いっそ開き直って大手を振って研究を進めてしまいましょうよ……それにしても調整前の“スイッチ”なんか飲んで夕美ちゃん、よく暴走しなかったもんですよね」
「ほんまや。運が良かった………いや?もしかしたら、夕美やったから上手いこといったんかも知れん」

 Scienagicact30
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:30"

|

2008年2月29日 (金)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:29

 一夜明けて──────。
 抜けるような青空。背景には、真新しいのに建物の中央部分が綺麗に球状に消えて無くなり、そのまわりはなぎ倒されたように外側へ木片やガレキがちらかっている奇妙な家。1時を少し回り、すでに直射では暑く感じられる太陽はすでにほぼ真上にある。
「うーん。」
 そこだけ残された玄関先に腰を下ろし、角刈り頭を掻きながら唸っているのは、須藤家が倒壊するたびに建て直しを頼んでいる、おなじみの大工の棟梁である。懐の煙草入れから“きざみ”をつまみだすと、くりくりっと丸めて煙管(きせる)に詰める。
「いやー、いつも見事な壊しっぷりだがよ、今度とゆー今度は、んっとに派手にやったもんだねぇ、先生。」

 Scienagicact29

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:29"

|

2008年2月10日 (日)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:28

「逆らうな、嬢ちゃん。お前さんはこのベレッタの弾丸でも平気らしいが、こっちの男どもはそういうワケにはいかんのだろう?」
「うう」
「ミョンシク、調べろ」リーダーはほづみに銃口をピタリと向けたまま命じる。
「アラッソ(解りました)」
 ミョンシクと呼ばれた男は、方をわしづかみにして夕美を自分の方に向き直らせると、しゃがみこんで定石どうりに足もとからバタバタと両手ではたくようにして夕美の身体を調べはじめた。
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:28"

|

2008年2月 3日 (日)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:27

Scienagic_act27

 その瞬間、誰もが“しまった”と思った。耕介が、ほづみが声を失い、取り返しのつかない事態を呪った。そして誰よりも撃たれた夕美自身がそう思っていた。リーダーも反射的に引き金を引いてしまったことを悔いていた。…ただし罪悪感ではない。須藤耕介を利用するなら娘は活かしておくべきだったからだ。
 ほんの数秒の時が過ぎる。それぞれの思惑で、それぞれの体感時間で凍結された時間が動き出す───。

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:27"

|

2008年2月 2日 (土)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:26

 ふたりの男のうち、ひとりはニオイに過敏らしく、その場で反吐を吐いて完全に戦意を失ってくずおれている。いや、こんな環境下では嗅覚過敏でなくても大抵の人は戦意を失うだろう。
 期せずして、須藤耕介の発明?の産物が発する超悪臭は立派な防衛兵器となっていた。だがこんなものに頼っていたら、悪臭の源に近いこちらのノーミソが先に腐ってしまうに違いない。

 だが夕美は気づいた。先日アレを口にしたとき、うっすらとではあったがあの激マズな味の中にこのまとわりつくような悪臭の片鱗のようなものがあったことに。
「で、出てこい!居ることは判ってる!おとなしく出てこないと…」
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:26"

|

2008年1月27日 (日)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:25

 耕介もほづみも部屋の模様替えなどするわけがないから、簡易キッチンのそばにはいまも600リットルクラスの5ドア大型冷蔵庫が鎮座ましましているはずだ。
 あのとき耕介はたしか「冷蔵庫も研究棟のが満杯やったから」と言っていた。ということは、あの妙な薬がこっちの冷蔵庫にも何本かでも残っている可能性がある、ということだ。
 もっとも、原料とか材料とか、いわゆる加工前のものしかなかったら万事休すといったところだが、たとえそうでも今はゼイタク言っていられない。現状を打破するには自分たちで解決する以外にどうしようもなさそうだからだ。
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:25"

|

2008年1月17日 (木)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:24

Scienagicgirl_act024

「うっ!…さむ。」
 外に満ちていた冷たい空気が、風呂上がりの夕美のまだ生乾きの髪にひやりと染みた。
 夕美の部屋にはスリッパなどの履き物まではおいてなかったから仕方なくソックスを重ね履きしたが、それでも土の感触がじかに伝わる。裸足よりはマシだが、じわじわと夜露が染み込んでくるので冷たさが倍増して感じられる。
 着ているものも七分袖のパジャマ姿だった。上着も羽織れば良かったかな、とすこしだけ後悔した。だが一刻も早く家から離れる必要があると判断した。

 夕美は闇の中を足早に離れの研究室へ向かう───
 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:24"

|

2008年1月15日 (火)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:23

Scienagicyumin_act023

 怪しい連中は山を上がりきって門を越えた。案の定四人、真っ暗とはいえ妙にガタイの立派なスーツ姿の男ばかりというのはシルエットからも判った。
 もくもくと、しかも無駄なく素早く行動するところはまるでハリウッドのサスペンス映画に出てくるどこかの国の特殊部隊みたい…いや、“みたい”ではなく、そのものに違いないと亜郎は確信した。

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:23"

|

2007年12月24日 (月)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:22


Scienagic_girl_act022

 オトコという生き物はかなり馬鹿である。
 馬鹿のくせに、どんなに不器用でクリエイティブワークとはおよそ無縁な者でも、なぜかある種の映像だけはハリウッド映画のどんなSFXクリエーターも足もとに及ばないほどにリアルな創造力を発揮する。
 しかも高速グラフィック処理にかけては世界最速のスーパーコンピューターも歯が立たない。ほんの一瞬観ただけのテキトーな画像からでさえ、あらゆるシーンや場面を瞬時に合成してしまうのである。
 古来よりこれを“妄想”と呼んできた。

 

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガールACT:22"

|

2007年10月14日 (日)

SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:21

 地震で驚いたおかげで出かかっていたくしゃみは引っ込んだが、その反動でか今度はしゃっくりが出始めた。
 冷え込みだした山の気温に、汗で濡れた夏服しか着ていない身体は震え始めている。
(いよいよヤバいぞ…ヒクッ)
  

続きを読む "SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:21"

|

2007年9月18日 (火)

おっ3トリオ座談チャッとらいなー(仮題)その2。

羽場:ACT20まで来たがな。

庵 :まだまだ序章程度やのに青息吐息やなあ。一回分はめちゃめちゃ短いのに、リリースにやたら時間かかってるのは情けない限りやなあ

冬夢:まあなあ、もお若いことないし、無理きかへんもんな

羽場:それゆーとホンマ情けない。けどそれを言い訳にしたらあかんわぁ。
 
 

続きを読む "おっ3トリオ座談チャッとらいなー(仮題)その2。"

| | コメント (0)

«SFコメディ小説/さいえなじっく☆ガール ACT:20