2016年4月17日 (日)

ACT:90『スクランブル・ユーミン、だよ。』

(と、東大寺さん!!)
(…名前で呼ぶな!お前、さっきから連呼しすぎやろ!オレらの身元が割れるやないかっ)
 “謎のコスプレ女”はこれまた謎の誰かと、ケータイか何かで自分たちの脚をヘシ折れとの物騒な相談中である。しかも東大寺はコスプレ女が放った閃光に視力を奪われて思うように動けず、相棒の鴨川もそれを見棄てて逃げられるほどの冷徹さもなく、また同時にたとえ常態だったとしてもお世辞にも戦闘向きでない二人は、結局のところ、その場に突っ立っている以外になすすべがなかった。

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2016年2月15日 (月)

ACT:89/真っ向対決!

 ───変身してみて、気がついた。

 このあと、何をどうしたらいいのか、全く考えていなかったのである。
 つまりは目の前の“賊”を捕まえればいいのだ。でも、どうやって?

 夕美はユーミンに変身した。弾丸を跳ね返し、身ひとつで空を駆ける、マンガやアニメの設定のままの“超人”に。それどころか“原作”にない瞬間移動などの能力まで持っているのだが、どれもまだコントロールができず、使い方も分かってない。

「だ、誰だお前!? なんだそのカッコ…あっ、東大寺さん!」

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2016年2月 8日 (月)

ACT:88/ふたたび、変身

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 夕美は夕美で気が気ではなかった。まさか3mほど前にいる男が自分を“オバケ”と思い込んで恐怖のどん底へ落ちていようとは思いもよらない。
 大きな暗幕をまとって全身を隠してはいても、全裸の身体に布を単純に巻き付けているだけである。
 

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2013年4月 8日 (月)

ACT:87/今度はあたしが黒ぅてアヤシイ存在て。

 こんな目に遭いながら、とりあえず…といったふうにテレポートなんて非常識な手段でここまで跳んではきたものの、今になって夕美は考えた。
 連中は───目の前の部室で泥棒を働こうとしてる怪しい連中の方でなく───ろくでなしの父親と、その助手のほづみと、この原因を作った亜郎───の三人は、はたして夕美をここへ来させた後の作戦はいったい、どんなものを考えていたのだろうか、と。

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 身につけていたものはすべて消えた。連絡を取れるように、と持たされたはずのトランシーバーも当然のように消えてしまった。
 値段などは知らないが、もともとハイテク装備を誇るメディア部部長である亜郎の持ち物で、例によって夕美の父親の耕助がちゃっかり接収(よこどり)したものだった。
 裕福らしき亜郎にしてみればさして惜しい物ではなかったかもしれないが、預かったヒトのものをダメにして悪い事をしたと思う反面、正直、須藤家からの出費でなかった事にホッとしている夕美だった。…いや───。
 

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2012年1月24日 (火)

ACT:86/また、すっぽんぽんかいっっ!

 ばさり。今まで夕美が立っていた場所に、彼女が身につけていたもの全部が抜け殻のように“落ち”た。トレードマークのヘアバンド代わりのロングリボンも、である。

「あっ」という、男どもの声が出たのはしばらく経ってからだった。それほど唐突だった。

「ゆ、ゆ、ゆ夕美さんは!?」

「…ほんまに消えよった…いや、これがテレポートか…理屈では解ってたつもりでもやっぱりたまげるなぁ」

「無事…!? 無事なんですか!?」「まて、さわるな!危険だ」
  
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2012年1月 6日 (金)

ACT:85/なんでもかんでもぶっつけ本番て。

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「夕美ちゃん。この際だ。テレポート…瞬間移動を試してみるかい」

 ほづみの唐突な提案に、夕美や亜郎はもちろんさすがに耕介もこれには面を食らった。
「ほづみ君、なんぼなんでもそら無茶とちゃうか」

「ほ、ほんまや。瞬間⋯移動やと!? あっそや、そやかてほづみ君、あんたこの前、瞬間移動は危険やて言うてなかったか?」
「確かに。でも、あの時はまだ夕美ちゃんはまったくのサイエナジックの初心者だったからね」
「い、今かて初心者やわ!」
  

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2011年10月10日 (月)

ACT:84/夜の学校はデンジャラスやで

 誰しも一度くらいは夜の学校に足を踏み入れたことがあるだろう。
 クラブ活動や補習や忘れ物や、学園祭の準備とか、その理由はともかくも。

 昼間、騒々しい活気に満ちているからか、その分対照的にひと気のない建物のなんと寂しげな事か。
 大学などと違って、もともと夜間の使用を想定していない設計思想だから、照明というより街灯のようなションボリした電灯だし、それとても最小限の本数しか使われていない。いわば防犯対策のために仕方なく付けているといった体裁だ。
 

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2011年9月 9日 (金)

ACT:83/亜郎くん、焦りもピーク。

「夕美さん、もう待てません、僕はひとりでも行きます。」
「あっっ、あほ、あかんて」と夕美。「こんなことしてる場合とちゃうがな。…ええい、しゃあない」と段ボールの中からビニール袋に入ったワンセットを適当に掴み出すと、着替えるために耕介の横をすり抜けるようにして家の奥へ飛び込んだ。

「はっは!なんやかんや言うても自分からコスを持って行きよった♪さすが俺の娘や」
「いや、違うと思いますよ」と、ほづみ。

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2011年6月13日 (月)

ACT:82/亜郎くん、めっちゃ焦る。

「ああ、泥棒か」
「なっっっっ…」拍子抜けしたような耕介の反応にはさすがに亜郎もムッとした。
「お、お父さんっっ? “ああ、どろぼーか” は、ないでしょうっっ、うちの部室、どんだけカネ目のものがあると思うんです!? いや、そりゃ須藤家の研究室に比べたら所詮は学生の」
「おお、なるほど。そらすまんかった。けどそんな事よりお前、いまドサクサにまた “お父さん” 言うたな!」
「なんでそこにひっかかるんですかっ!?」

「あっ。もしかして」突然、ほづみが顔を上げた。「泥棒の目的は、学校というよりメディア部そのものじゃないのか?」

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2011年3月 9日 (水)

ACT:81/揺れます。揺れます。いろいろと。

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「ちょっとあんたら。何くつろいでんのん!そんなとこで喋っとるくらいやったら、食器とかの片付け手伝うてぇや。」

「あ。」ほづみと亜郎がそれぞれ「ごめん」「すみません」と家の方へ駆け寄るさまは、夕暮れ時に母親に叱られて呼び戻される幼い兄弟のようだ。
「亜郎君、言うとくけど明日もちゃんと学校には行くねんで」
「え」
「当たり前やんか。登校拒否なんかさせへんで。あたしは引きこもり用の天の岩戸を提供するつもりはあらへんし」
「でも…」
「だいたい、ほづみ君もなにしょーもない事言うてんのん。ここはもぉ悪いヤツラにはとうにバレてんのやろ?来よった連中追い返したかて、時間稼ぎにはなっても、遅かれ早かれ何かまた来寄るに決まっとるワ。せやろ?」

「いやしかし」

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